北欧旅日記 九日目
夜が深まる十二時頃、目を醒ます
すっと起き、ありったけのものを着てマフラーを
首、頭に巻き付けて呼ばれるようにそっと、外へ
星が降る々夜でした
「星が美しいがあたりまえ」
な暮らしをするのが、一つ将来の夢
朝、カーテンの隙間が薄ら白く、
時刻は七時前
もう少しのんびり、、、と思った瞬間に目に入ったのは
『07:03 日の出』の文字
もちろん、飛び起きる
外は氷点下一度
白をまとう橋
この名残惜しいような、夜からのあわいの時
その姿は「今」を変化させ
そのたった瞬時の「今」を、いくつも、いくつも追いかける
消えないでと、祈ってしまう
氷点下一度の秋
足元から高音の、小さな小さな声で囁かれているようで
繊細なことは決して弱いことではない
その繊細さを受け入れること、保つことの方が
ずっと、たくましいと思う
オーナーはPIAさんという女性
二人のお子さんのママ
朝の散歩を終え、自分が自然の一部であることに感謝する
お願いをしてた朝八時の一分前、
朝食を求めキッチンの扉を開ける
[MORNING]
PIAさんのキッチン
朝の日差しとキャンドルの関係は?
誰かに優しくしたい朝
こうして朝、木の椅子に座って湯気の立つコーヒーを見ながら
溶けてゆく
何か自分の中にある
硬くて重たい、円状のギュッとした何かが、
やっと、少しだけ指の間に馴染んだような
そんな感覚を起こす
お腹もパンパンに膨れあがり
体もじんわりと暖かい
さあ、快晴のラウコスキーの森を散歩
裏の広大な麦畑の先、小道を進む
久しぶりの人の気配なのか、
鳥たちの驚きぶり、私も驚く
「ヒトがキターーーーーーー」と鳴いて逃げまくっていた
静かな実りの秋を、少し邪魔してしまったかもしれない
小道の先には湖
夏の思い出が染み込むカヌーが二層、岸に寄せてある
少し休憩
この辺りにもたくさんのベリーが足元を彩る
たわわに実るこの実、んん美味しく無い、、、
鳥も人も、「甘い」の感覚って一緒なのかなと不思議に、、、
調べてみると、鳥には人間ほどの味覚の鋭さは無い?ようですが
甘味、塩味、酸味、苦味は同じように感じており、
高カロリーなものを好むよう
生きることと食べることがダイレクト
雲が出てきて一気に冷えてくると、
私もお部屋に篭りモード
[LUNCH]
ひとまずお湯を沸かし、粉末のオニオンスープで体を温める
あとは、
あんなに食べたのに不思議とお腹が空いたようなので、、、
オーツ麦のサンドウィッチとピーラッカ
窓越しの秋に魅了されて、
何かをすることが勿体無くも思ってしまうほど
やっとゆっくり梨木さんの本を読める
(この旅の荷物が重い訳:
ハードカバーの本を2冊、文庫本2冊、詩集1冊、旅歩き1冊、英単語1冊
身をもって学ぶ、あまりにも重いしアウトプットする暇は、一人旅にも無い)
このひらひらの赤ちゃんのようなパン?はピーラッカといい
フィンランドではどこのスーパーマーケットでもパン屋さんでも
見かける定番のもの
ライ麦の生地で柔らかなお米を包んだもので
お米本来の優しい甘みやまろやかさ
温めるとトロッと、さくっとしてとても美味しい
カフェとかではピーラッカの上にいろいろ乗せ
オープンサンドのようにしたフードを
幾度も見かける、おいしいだろうな
英語が話せないけれど、
PIAさんに気持ちを伝えたくって、手紙を書いたり、
(次は絶対に日本から幾つかレターセットをもっていこう)
寒くて仕方ないのに
何だかあたたかな部屋で頭がぽーとしてくるので外で読書をしたり
日が傾き、
穏やかで不思議な一日が終わろうとしている
明日の朝にはここを立つ、寂しいな
じっくり暮らしてみたい
PIAさんが明日の朝、車で用があるからと
街の一番大きなバス停まで送ってくれるということ、
本当に優しい。
ちょっとホッとしたり、
でも明日の空港までの不安もあったり、、
そうしていつの間にか眠ってしまう